STRATEGIC FRAMEWORK

ヘンケルは、当社の目的とバリューに基づいた長期戦略的枠組みに沿って、未来を築いていきます。

この戦略的枠組みにより、意義ある成長にしっかりと焦点を合せながら、2020年からの10年間を勝ち抜いていくことが可能となります。これは、市場を上回るより優れた顧客・消費者価値の創出、サステナビリティ分野でのリーダーシップの強化、そして社員がヘンケルでの仕事を通じてプロとしても個人としても成長できるようになることを意味します。

ヘンケルの戦略的枠組みの主要要素は、勝てるポートフォリオ、イノベーション・サステナビリティ・デジタル化という3つの分野における競争上の強みと、未来を見据えたオペレーションモデル、そして、その強固な基盤となるのが協力的な文化と意思決定力を持つ社員です。

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2020年からの10年間を勝ち抜く
意義ある成長

勝てるポートフォリオを徹底して構築

当社の戦略的方向性を示す主要な要素の1つが、積極的なポートフォリオ管理です。ヘンケルは、主にコンシューマー向け事業の中から総計で売上高10億ユーロ以上となるブランドやカテゴリーを特定し、「意義ある成長」アジェンダの導入以降、すでにそのうちの大部分を売却または廃止しています。また、M&A(合併買収)はヘンケルの戦略の重要な要素です。買収の主要基準は、有効性、戦略上の適合性、および潜在的ターゲットの財務的な魅力となります。ヘンケルは、自社の有する優れたバランスシートを活用し、影響力の大きな買収を進めていきます。買収によって、アドヒーシブ テクノロジーズ(接着技術)事業部門の技術的リーダーシップ拡大を目指しながら、コンシューマー向け事業部門においては、各国およびカテゴリーにおけるトップの位置の確保、そして手付かずであった分野と新たなビジネスモデルに重点をおいて取り組んでいきます。

投資を拡大させ、影響力のあるイノベーションを加速

投資拡大などによって、影響力のあるイノベーションを加速させていきます。例えば、より迅速により良いインサイトを得られるようデジタルツールやデータの利用を拡大するなど、イノベーション・アプローチの強化等にも取り組んでいきます。また、組織全体において、市場により即応した意思決定を推進し、オープンイノベーションやアイデア・クラウドソーシングの力を一層活用していくとともに、機動性をさらに強化し、インキュベーターやイノベーションセンターへの投資を継続していきます。これにより、両事業部門において影響力のあるイノベーションの開発を実現させることができます。イノベーションとブランドについては、中核となるカテゴリーおよび地域への一貫した投資によって促進していきます。そのため、ヘンケルは引き続き広告活動、デジタル化およびITへの成長投資を大幅に拡大しています。

意欲的な目標達成に向け、優れた実績を基にサステナビリティをさらに推進

ヘンケルは、2020年とそのさらに先に向けた目標達成を目指し、優れた実績を基にさらに前進していくため、競争上の差別化要因としてサステナビリティを強化していきます。当社は、お客様やコンシューマーの皆様をはじめ、ビジネスパートナー、さらには社会全体に関わりの深い3つの重要事項に関し、次のような目標を定めています。2030年までのクライメート・ポジティブ(環境に前向き)な事業運営の実現に向け、お客様、コンシューマーの皆様、そしてサプライヤー各社とともに、基準年の2010年と比較して、2025年までにカーボンフットプリント(CO2換算の温室効果ガス排出量)の65%削減、二酸化炭素排出量の1億トン削減を目指します。また、2030年までに調達電力を100%再生可能エネルギーにすることを目標としています。循環型経済と環境中のプラスチック廃棄物ゼロの実現に向け、ヘンケルは、パッケージに関する2025年までの意欲的な目標を設定しています。ヘンケルのパッケージにおいては100%リサイクルまたは再利用1を可能にし、コンシューマー向け製品のパッケージにおける化石ベースの未使用プラスチックの割合を50%削減していきます。さらにヘンケルは、パートナーとともに100%責任ある調達を実現し、約48,000人の熱意ある社員を活用し、また2030年までに世界3,000万人の人々の生活改善に貢献するなど、コミュニティに対するポジティブな社会的影響をさらに高めていきたいと考えています。サステナビリティは、しっかりとすべての活動に組み込まれることになります。サステナビリティをイノベーション戦略の中心的柱として確立することにより、コンシューマー向けビジネスでは特にサステナブルなパッケージソリューションに重点を置いて、目的をもったブランドのさらなる展開を進めながら、製品ポートフォリオを拡充させることができます。アドヒーシブ テクノロジーズ(接着技術)事業部門では、業界基準となる製品とテクノロジーを通じ、引き続きサステナビリティを推進していきます。

デジタル変革によって顧客・消費者価値を創出

ヘンケルは、今後、デジタル変革によって顧客・消費者価値を創出することを目指します。既存のプラットフォームの拡充と新たなプラットフォームの開設によって消費者と直接的な関係を構築し、一般消費者向け事業において、1対1のエンゲージメントとデジタルの売上を向上させたいと考えています。新たな事業を生み出すため、すべてのタッチポイントにおける顧客体験のデジタル化を進めていくために、産業用事業におけるエンドツーエンドで顧客中心のデジタル化を推進していきます。さらに、ヘンケルはエンドツーエンドのデータ統合をさらに進めていきます。これにより、例えば、AI主導の革新的かつカスタマイズされたソリューションを生み出すことができるようになります。また、ヘンケルは、デジタル人材、特に、これから必要となる能力とテクノロジー産業の深い専門知識を有するデータサイエンティストおよびデータエンジニアに投資を行っていきます。そして、デジタルビジネスの重点化および効率化を実現していきたいと考えています。当社のデジタル体制を全面的に再編成し、「デジタルビジネス」と称する新たなデジタル体制を確立します。ヘンケルは昨年末、新たに最高デジタル・情報責任者(CDIO)を設置しました。ヘンケル全体のデジタルとITチームは、最高経営責任者(CEO)に直属するCDIOの下に統合されることになります。

ヘンケルの新体制「デジタルビジネス」には、2つの柱があります。1つ目の柱は「ビジネステクノロジー」であり、ビジネスプロセスとITシステムの継続的な最適化によってバリューチェーン全体にわたる効率化を促進させる部署です。2つ目は「ヘンケルデジタル」で、市場重視のインキュベーションとイノベーションのために新しく設置された部署です。この体制の下、ヘンケルでは、ベルリン、シリコンバレー、アジアの各地に、デジタルイノベーション拠点の設置を計画しています。

1 接着剤製品については、残留物がリサイクル作業に支障を与えたり、作業工程で有害物質を排出したりする恐れがあるため、対象外とします。

効率的で迅速かつシンプルなオペレーションモデルに再構築

ヘンケルの事業プロセスと構造の競争力を継続して高めていくために、会社全体においてオペレーティングモデルを効率的で迅速かつシンプルなモデルに再構築しています。当社は、より迅速な意思決定によってお客様・消費者の皆様との距離を縮め、継続して効率性を高めるために、新たなビジネスモデルの実現に向けた取り組みを強化したいと考えています。

社員が意思決定力を持ち、協力していく文化を強化

ワンチームで協力していくためのしっかりとした文化、バリューの共有、明確な枠組みが、今後のヘンケルの成功のカギとなります。ヘンケルは、その第一歩として、2019年に世界中のすべての社員に対し、リーダーシップコミットメントを導入しました。このコミットメントを中心に据え、成功のカギとなる文化醸成に向けた動きを加速させていき、協力と意思決定力(社員への権限付与)の文化を醸成し、これから必要となる能力について社員のスキルアップを図り、社員が成長・発展していけるよう取り組んでいきます。