地域コミュニティの繁栄

白衣を着た2人の子どもと1人の女性がテーブルで塗り絵をしている様子

私たちは、人々の生活向上を支援するためにできる限りの努力をします。私たちの社会的責任は、エクイティ(公平性)を促進し、ダイバーシティ(多様性)を強化し、人権を尊重することにあります。社員の生涯学習の機会と魅力的で健全な職場環境を提供します。気候変動の緩和策、機能的な循環型経済、自然や生物多様性の保護に重点を置いています。

公平性

ダイバーシティ、エクイティ & インクルージョンを強化し、人権を尊重し、人々の生活向上を図ります。

不平等をなくし、誰一人取り残さない。これこそ、社会が意義のある発展を遂げるために不可欠な要素です。しかし近年、平等への取り組みは大きな壁に直面しています。世界ではさまざまな出来事によって排除の動きや構造的差別が激しさを増し、身近な社会の発展にまで悪影響を及ぼしています。

危機に陥った時に私たちが前を向いて進むためには、平等を中心に据えたソリューションが必要になります。こうした考えをもとに、私たちの行動がもたらす力強い変革をアジェンダとして定めています。平等という概念がさまざまなテーマを関連付け、幅広い活動を行うための原動力となります。

私たちの社会や職場で、それぞれ違いをもった人々の一体感を高めることは、創造性とイノベーションを育むために重要です。誰もが、さまざまな声に耳を傾け、異なる視点や考え方を理解しなければなりません。社員が自発性を発揮し、主体的に考え、新しいアイデアをオープンに共有できるような信頼に基づく企業文化の構築に向けて、私たちは共に歩みを進めていきます。

私たちは企業として、ネガティブな影響を抑え、ポジティブな効果を高めるという重要な役割を担っています。

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(多様性、公平性と一体性[DEI])によって、一体感を大切にする文化を育む

ヘンケルにとってダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)はビジネスにおける責務であり、企業文化を構成する不可欠な要素となっています。一体感を大切にする文化の構築を目指し、ダイバーシティのポテンシャルを十分に発揮できるエクイティの実現に取り組んでいます。私たちは、多様性のある職場とオープンで感謝を伝え合う企業文化こそ、グローバルな世界で成功するための重要要素であると確信しています。異なる見方、文化、考え方があるからこそ、独創的で画期的な製品、サービス、ソリューションが生まれ、多様化するマーケットやステークホルダーのニーズに応えることができるのです。ヘンケルでは多数のプログラムや研修コースを用意し、ダイバーシティに対する理解と認識を深めながら、インクルーシブな企業文化を推進しています。

オープンで感謝の心を持った文化を醸成するために、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)をテーマにしたインタラクティブ動画を継続的に提供しています。また、既存の内容を補完するものとして、意識的なインクルージョンというテーマを取り上げた対話型eラーニングコースを新たに設けました。管理職向けにはハラスメント防止のためのコンプライアンス研修を実施し、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの問題に対する意識の向上と、マイノリティや正当な評価を受けられない人々の保護に努めています。

ダイバーシティとエクイティの分野における重要な出来事としては、全世界の社員を対象に、性別を問わない育児休暇制度を導入しました。この制度は、最大8週間の完全有給育児休暇を保証するもので、養子縁組、里親、LGBTQ+のカップル、ひとり親を含むすべての社員に適用されます。制度導入に対しては非常に好評を得ており、2024年に育児休暇を取得した社員の数は、全世界で前年比約30%増加しました。

人権尊重への取り組み

ヘンケルは、倫理的かつ合法的な方法でビジネスを遂行する方針を明確に定めています。これは、国際的に認められている人権を尊重する取り組みとも深く関連しています。ヘンケルはすでに1994年から、ミッションと原則(Mission and Principles)を定めた文書で、社会的価値と基準を尊重することが企業方針の不可欠な要素であると強調しています。

教育

生涯にわたる学習および教育を支援し、コンシューマーがサステナビリティに配慮した行動を起こせるようにします。

教育は、前向きな変化を実現する最も強力なツールの1つです。人々は教育を受けることによって、貧困から抜け出し、不平等をなくし、健康を維持するために必要な知識とスキルを身に付けることができます。教育と生涯学習は、固有の権利として、またその他の権利を実現する手段として、ヘンケルの戦略を導く重要な要素です。

継続的な学習は、イノベーションと創造性を刺激します。日常業務を通じた学習と能力開発だけでなく、主な職務以外での学びによって成長する機会も重要な要素です。ヘンケルが注力する革新的なプログラムは、従来の学習方法とは異なる総合的かつ積極的な学習アプローチであり、知識、スキル、考え方に特に重点を置いています。

この重要な学習アプローチは、社員を起点として、お客様や、当社が事業を展開する地域コミュニティにまで影響を及ぼします。ヘンケルの活動は、革新的なアイデアの創出、持続可能な行動の促進、新しいデジタルソリューションの開発に必要なスキルとコンピテンシーを高め、人々が将来の課題を克服し、機会を活用できるようにするものです。

社会貢献活動

現役社員、退職社員、お客様、コンシューマー、パートナー、慈善団体と協力し、当社の事業活動の域を超えて世界中の社会に永続的な貢献をすることを約束します。ヘンケルは、社員によるボランティア活動、慈善団体とのパートナーシップ、自然災害に特化した緊急支援、という3本柱をベースに取り組んでいます。

企業市民活動は、私たちが「未来志向の社会を作る」ための方法です。私たちの活動は、必要とされているスキルや能力を習得するための教育を通じて、画期的なアイデアや持続可能な行動、新たなデジタルソリューションへとつなげることを目的としています。さらに、将来の課題を克服し、チャンスを最大限に生かせるようになることを目指しています。

教育プログラム

ヘンケルのサステナビリティ戦略を実行に移すためには、社員が献身的に取り組み、自らのスキルと知識を活用して変化を起こさなければなりません。そのため、サステナビリティに対する社員の取り組みを促しています。ヘンケルは既存の研修プログラムを拡張し、総合的エンゲージメントプログラムを盛り込みました。その目的は、重要な知識とスキル、考え方を社員に分かりやすく伝えることです。ヘンケルがサステナビリティの分野でリーダーとしての役割を果たすためには、これらが欠かせません。また、社員が職場環境でも私生活でもサステナビリティに積極的に関わることを推奨し、後押ししています。

さらに、地域コミュニティでの教育プログラムのさらなる拡充に取り組んでいます。フォーシュウェルト(研究者の世界)という活動を通じて、ヘンケルは科学リテラシーに貢献しています。

Forscherwelt (Researcher's World) Dubai - Thumbnail

社員の能力開発

ヘンケルは、社員がそのポテンシャルを最大限に発揮できるよう、スキルと知識の向上を促進しています。社員の能力開発の基盤として、パフォーマンスやポテンシャルについて定期的かつオープンなフィードバックを実施しています。これにより、会社が求めるものと各社員のポテンシャルの両方を踏まえた個別の能力開発施策を容易に策定することができ、将来にふさわしい人材を育てることができます。具体的な取り組み事例を以下にご紹介します。

  • 定期的なフィードバックを通じた個人別能力開発計画:人材管理の取り組みの一環として、社員一人ひとりに合わせた能力開発を促進するため、定期的な能力開発会議の実施や個人別能力開発計画の策定を行っています。これにより、社内人材を体系的に把握・育成し、社内の後継者育成計画を立てることができます。
  • キャリア開始時および生涯学習プログラム:ヘンケルは、多くの若者が輝かしいキャリアのスタートを切ることができるよう支援しています。また、生涯学習は、社内での継続的な能力開発において非常に重要な要素です。私たちは、日常業務だけでなく、さまざまな仕事を通じて得られる学びを重視しており、これを促すために、国内外を問わず新たな経験を積む機会を提供しています。
  • デジタルを活用した研修機会の拡大:ヘンケルでは数年前から、従来の対面形式に加えて、全世界の社員を対象としたオンライン研修を実施しています。オンライン研修ではグローバルな学習プラットフォームを活用しており、社員には講師主導の研修プログラムのほか、eラーニング、ポッドキャスト、動画、オンライン共有形式の研修が提供されています。ヘンケル・ラーニングハブではすべてのサービスをクラウドベースで利用できるため、社員はオフィス環境だけでなく、外出先や自宅で好きな時にアクセスできます。

ウェルビーイング(幸福)

健康および幸福を増進させ、社会的発展を促進させます。

ウェルビーイング(幸福)を考える際、身体的、精神的、社会的側面が密接に関わっているという俯瞰的な視点がますます重要になっており、ヘンケルもこの考え方に賛同しています。

急速にデジタル化が進む環境で働く人々にとってウェルビーイング(幸福)とは何を意味するのでしょうか。これを機に私たちのアプローチを再考し、環境の変化に適応していくことが求められています。インクルーシブで協調的なアプローチをとることが、ウェルビーイングの文化を維持するためには不可欠です。特に、働く場所の概念が変化している昨今、物理的な職場の状態によってウェルビーイングの度合いが左右されることを理解することは極めて重要になってきています。創造性を育みレジリエンスを支える最適な勤務環境を整えることは、社員のニーズにより適した職場を活性化することも含まれます。

メンタルヘルス対策についても、ウェルビーイング戦略を実施するうえで引き続き検討していきます。さらに、職場環境に関してポジティブな変化を加速させるためには、デジタルツールが社員のウェルビーイングを高める鍵を握っているということを理解する必要があります。

今後も社員の理解をさらに深め、ウェルビーイングを企業文化として取り入れる総合的なアプローチに取り組んでいきます。

健康とウェルビーイングの維持・向上

ヘンケルは、社員の健康と活力を高め、迅速に対応し優れた成果を上げられる組織づくりを目指しています。そのため、グローバルで統一された健康安全基準に則り、疾病を引き起こす恐れのある職場リスクから社員を守るため、健康促進および予防医療プログラムを提供しています。当社の拠点では幅広いサービスを提供しており、社員の身体的健康を促進すること(禁煙セミナーの開催、健康診断、エイズ予防の啓蒙等)と、精神的活力を維持すること(ストレス管理や同様の対策)の2つを目標に掲げています。ヘンケルは労働力維持のためのプログラムを実施し、人口動態の変化をはじめとする重要な社会動向を捉えています。各地域で多くのプログラムを実施しているだけでなく、毎年、全世界合同で健康キャンペーンを開催しています。

2024年、ヘンケルの労働衛生管理が評価され、「Corporate Health Award 2024(化学製品/医薬品部門)」を受賞しました。Corporate Health Awardは、戦略的な労働衛生管理を表彰するドイツで最も権威ある賞で、未来志向かつ持続可能な人事戦略を推進する雇用主に贈られるものです。グローバルヘルスプラットフォームであるMycareに加え、健康に関する問題をチームに直接提起するヘルススカウトの育成や、社内の健康管理組織における経営陣と社員の密接な連携が高く評価されました。

高水準の労働安全衛生

社内およびバリューチェーンにおける労働安全は、私たちの最優先事項です。ゼロ災害という長期目標にも引き続き注力し、2025年末までに、労働安全環境を2010年比で60%向上することを目指しています。

この目標を達成するため、社員の意識向上に向けた講習に投資するとともに、技術面での安全基準を高めています。私たちは、安全性、健康、環境に関する基準が確実に遵守されているかどうかを定期的に見直しています。また、委託業者での労働環境や当社拠点で勤務する他社の社員も対象として、労働安全衛生の改善に取り組んでいます。

すべての拠点で定期的に講習を実施し、社員が災害リスクを特定し回避できるようにしています。一部の地域で既に実施されているプログラムを拡張し、全社への適用も進めています。また、安全性に関する最重要課題について社員同士の意識をさらに高めるため、グローバルな安全衛生キャンペーンも実施しています。

働き方の未来像

ヘンケルは、出社の有無ではなく成果によってパフォーマンスを測定しており、長年にわたり柔軟な働き方を推進してきました。信頼の文化をベースとしているからこそ、パートタイム勤務、フレックス労働時間、新たな職場の概念やリモート勤務が浸透しています。私たちは、社員が働きやすい未来志向の職場づくりを目指しています。 

スマートワークは、社員と企業が未来の働き方に備えるための総合的アプローチです。スマートワークとは、リモート勤務またはオフィス勤務といった働き方の枠組みに留まらず、社員同士のコラボレーション(協働)や創造性をより高められる職場づくり、社員の健康促進プログラムの改善、デジタル化の可能性を探る方法といったさまざまな要素が含まれています。