現在ヘンケルでは、2025年以降のサステナビリティ目標の達成に向けて、サプライヤーと共通の計画を策定・実践することに重点を置いています。私たちはサプライヤーと連携し、さまざまなプラットフォームやフォーラムを活用して、持続可能な製品と技術の分野で先駆的なイノベーションを創出しています。
ヘンケルは、持続可能な調達方法を推進するためのツールとして、戦略的サプライヤーとの間に具体的な目標を盛り込んだ契約を結んでいます。また、リスク管理アプローチの一環として、上流サプライチェーンのサステナビリティリスクに関する透明性の向上に継続的に取り組んでいます。そのため、原材料や包装材などを供給する一部のサプライヤーに対しても、ヘンケルに供給される製品ポートフォリオの排出レベルについて透明性を確保するよう求めています。この気候コミットメントプログラムの参加対象となるサプライヤー全体で、当社のスコープ3.1のフットプリントの50%以上を占めています。2023年には、サプライヤーから調達した原材料について、2,500を超える製品カーボンフットプリントのデータポイントを検証し、この情報を重要なデータソースとして社内で利用できるようにしました。2024年には、製品カーボンフットプリントのデータポイントを6,000超にまで拡大しました。
また、2024年には「ヘンケルクライメートコネクト」を開始しました。これは、上位の排出企業や直接材以外にも、気候関連のサプライヤーエンゲージメントや排出量データ収集の対象を拡大することを目的とした、グローバルな調達イニシアチブです。ヘンケルはこのイニシアチブを通じて、サプライヤーの排出量を体系的に把握、検証、削減するとともに、サプライチェーン全体で、各サプライヤーが当社のネットゼロ目標に沿って排出量削減に積極的に貢献することを期待しています。私たちは、以前から参加している「サステナビリティのための協力(Together for Sustainability:TfS)」とのパートナーシップおよび新たに立ち上げた「ヘンケルクライメートコネクト」を通じて、サプライヤーの気候移行能力を向上させるための支援と研修用のリソースを世界規模で提供しており、サプライヤーごとのさまざまな成熟度レベルに対応しています。
2022年には、バリューチェーンのサステナビリティ強化に向けた重要な取り組みとして、ドイツ銀行の協力の下、サプライヤーのサステナビリティパフォーマンスと、欧州の既存のサプライヤー融資プログラムとの紐づけを行いました。すでにドイツ銀行のサプライチェーン融資を受けている欧州のサプライヤーは、EcoVadisの評価に基づいてより良い融資条件を享受することができます。サプライヤーのESG評価が改善し続けると、融資金利は徐々に引き下げられます。これにより、5つの地域のサプライヤー融資プログラムすべてがサステナビリティ基準に紐づけられたことになります。ヘンケルは、サプライチェーンの対象範囲をさらに拡大するため、他の国々についても必要に応じてこれらのプログラムに順次統合していく予定です。
6段階の「責任ある調達プロセス」は、戦略的なリスクマネジメントとコンプライアンスアプローチの核となる要素です。ここでは、リスクを特定することと、リスクを最小化する適切な方法を見極めることを重視しています。サプライヤーによるサステナビリティパフォーマンス評価を活用することで、透明性を確保しています。そしてサプライヤーと協力しながらバイヤーを支援し、バリューチェーンにいける継続的な改善につなげています。主に、プロセス最適化、資源効率、環境・社会的基準についての知識転換や能力構築をベースとして、こうした継続的な改善プロセスを実施しています。このプロセスは、ヘンケルのすべての調達活動にとって不可欠な要素です。この6段階のプロセスは、包装、原材料、外部委託製造の分野における当社調達量の約97%をカバーしています。