2021/08/19  東京

戦略的成長アジェンダが順調に進捗

ヘンケル、本年上半期に非常に高い業績を達成 既存事業売上高と利益が2桁成長

  • グループの既存事業売上高は前年比11.3%増の約100億ユーロ(名目4.7%増)、すべての事業部門と地域が貢献
  • 営業利益*は、前年比20.1%増の1,430百万ユーロ
  • 売上高営業利益率(EBIT マージン)*は14.4%増、1.9パーセントポイントのプラス
  • 優先株(一株)あたり利益(EPS)*は 22.4%増の2.40ユーロ、為替変動の影響を除外すると30.1%増
  • 「意義ある成長アジェンダ」(purposeful growth agenda)の全分野で順調に進捗
  • 2021年度見通しの更新:売上高を上方修正、利益見通しには変更なし
    • 既存事業売上高成長率:6.0~8.0%増(更新前:4.0~6.0%増)
    • 売上高営業利益率(EBIT マージン*):13.5~14.5%増(更新前:14.0~15.0%増)
    • 優先株(一株)あたり利益(EPS) *:為替変動を除外して 1 桁台後半から10%台半ばまで増加(変更なし)

※一時所得、一時費用およびリストラ費用を除く

ヘンケルは、2021年度に好調なスタートを切ったのに続き、上半期も成長を加速し、為替変動の影響を調整すると、すでに 2019 年の危機前の水準を上回りました。世界各地の多くの市場で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による世界的な危機の影響により、引き続き社会経済環境に悪影響が残っているにもかかわらず、ヘンケルは上半期に売上高と利益の大幅増を達成しました。2021 年の最初の 6 ヵ月間に、既存事業売上高成長率は 11.3%増を達成しました。グループ売上高は約 100億ユーロと、名目で 4.7%増加しました。

調整後の営業利益は20.1%増の1,430 百万ユーロ、調整後の売上高営業利益率(EBIT マージン)は1.9パーセントポイント増の14.4%に達し、前年同期比で1.9パーセントポイント増加しました。為替変動の影響を除外すると、調整後の優先株(一株)あたり利益は30.1%増加しました。上半期の原材料コスト上昇による影響は、特に、非常に好調な販売量増加と価格の上昇、および厳しい原価管理と効率の改善により相殺されました。

ヘンケル最高経営責任者のカーステン・クノーベルは、「2021年上半期、ヘンケルは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより引き続き影響を受けました。それにもかかわらず、売上高と利益で2 桁台の成長を達成しました。売上高については、為替変動による影響を調整すると、危機前の2019 年の水準をすでに超えることができました。これには主に、世界各地の従業員の優れたチームスピリットと献身、ならびに一般消費者用事業および工業用事業の有力なブランドと革新的なテクノロジーからなるバランスの取れた強固なポートフォリオが貢献しています」と述べています。

2021年上半期の既存事業売上高の増加には、すべての事業部門と地域が貢献しました。アドヒーシブ テクノロジーズ(接着技術)事業部門は、今年上半期に最も好調な売上高増を達成しました。この事業部門では、すべての地域と事業分野で既存事業売上高が増加し、全体で2桁台の成長を達成しました。この進展は、世界経済の大幅な回復により支えられました。さらに、ビューティーケア、ランドリー&ホームケアの各事業部門でも、ヘンケルは既存事業売上高増を達成しました。しかし、事業分野により状況は様々でした。ビューティーケア事業部門では、プロフェッショナル向け事業が成長を牽引し、前年、パンデミックにより成長が鈍化した後、2桁台の成長に転じました。一方、一般消費者向け事業は、ボディケアカテゴリーの既存事業売上高の減少と市場の著しい低迷により、2021年上半期には前年同期の水準を下回りました。ランドリー&ホームケア事業部門では、主にホームケア事業が成長を牽引し、既存事業売上高で大幅増を達成しました。ランドリーケア事業は、好調な既存事業売上高成長率を記録しました。

クノーベルはさらに、「当社は、今年上半期も戦略的成長アジェンダを順調に推進しています。積極的なポートフォリオ管理の一環として、ブランドや事業の売却と廃止を継続的に実施しています。これと同時に、特にサステナブルなブランドポートフォリオの拡大を目指して、ターゲットを絞って買収を実施しました。本年は、イノベーション、サステナビリティ、デジタル化の分野で競争力をさらに強化し、企業文化のさらなる進展を重点に取り組んでいます。本年上半期に、これらの分野で順調な進捗を達成したため、『意義ある成長アジェンダ』が順調に進んでいるものと確信しています」と述べています。

2021年度見通しの更新:売上高を上方修正、一株当たりの利益には変更なし

クノーベルは、2021年度の残りの期間を展望して次のように述べています。「全体的に、ほとんどの事業で需要が正常化しています。また、2020年下半期に多くの地域で工業製品需要が回復に転じた後、経済の回復が続いているにもかかわらず、2021年度下半期には成長率が大幅に低下すると思われます。これと同時に、今後のパンデミックの動向、および消費と工業製品生産への影響については極めて不透明です。特に、原材料価格の急騰とサプライチェーンの緊迫が、今年後半の経済に大きく影響するでしょう。当社は、事業や収益性への影響を抑えるために、懸命に取り組み、広範に対策を講じています。これと同時に、今後も市場の変化にもすばやく柔軟に対応するとともに、成長計画の実施を一貫して推進しています。前述の環境を考慮し、上半期の極めて好調な業績をもとに、本日、通期見通しを更新しました。当社は、原材料費高騰による逆風が強くなっているにもかかわらず、売上高予測を上方修正した一方、一株あたり利益は従来のままとしました」

ヘンケルは現在、既存事業売上高成長率を6.08.0%、調整後の売上高営業利益率(EBITマージン)を13.514.5%と見込んでいます。為替変動の影響を除外すると、調整後の優先株(一株)あたり利益(EPS)は、1 桁台後半から10%台半ばの範囲の増加を予想しています。

2021年上半期のグループ売上高と利益実績

2021年上半期、ヘンケルグループの売上高は9,926 百万ユーロと、前年同期比4.7%増でした(第2 四半期:4,958 百万ユーロ、8.8%増)。為替変動と買収・売却の影響を除外した既存事業売上高は、11.3%増と2 桁成長を達成しました(第2 四半期:15.2%増)。買収と売却による売上高への影響はプラス0.4%でした(第2 四半期:0.1%増)。為替変動の影響により売上高に 7.0%のマイナスの影響がありました(第2 四半期:6.5%減)。

新興市場の既存事業売上高は21.5%増でした(第 2 四半期:24.7%増)。成熟市場では、既存事業売上高成長率が4.5%増と非常に好調でした(第2 四半期:8.8%増)。

西欧地域の本年上半期の既存事業売上高成長率は5.5%増でした(第 2 四半期:10.7%増)。東欧地域の既存事業売上高成長率は17.6%増でした(第2四半期:24.1%増)。アフリカ・中東地域の既存事業売上高成長率は26.4%増でした(第2 四半期:31.7%増)。北米地域の既存事業売上高成長率は3.0%増でした(第2 四半期:6.3%増)。中南米地域の既存事業売上高成長率は21.0%増でした(第2四半期:34.2%増)。アジア太平洋地域の既存事業売上高成長率は20.8%増でした(第2 四半期:17.3%増)。

調整後の営業利益(調整後EBITは、前年上半期の1,191 百万ユーロから20.1%増の1,430 百万ユーロでした。

調整後営業利益率(調整後 EBITは、12.6%から14.4%と1.9パーセントポイント増加しました。

優先株(一株)あたり調整後利益は、2020年上半期の1.96 ユーロから22.4%増の2.40 ユーロでした。為替変動の影響を除外すると、調整後優先株(一株)あたり利益は30.1%増加しました。

正味運転資本はさらに改善しました。売上高の3.6%と、前年同期の水準(4.4%)を 80 ベーシスポイント下回りました。

フリーキャッシュフローは471百万ユーロと、2020年上半期(940百万ユーロ)を下回りました。これは特に、営業活動によるキャッシュフローが減少したためです。この減少は、営業利益の増加に伴い、正味運転資本が2020 年度末に比べて大幅に増加したためで、その一部は売上高の大幅増によるものでした。

正味財務状況は、2021年6月30日時点でマイナス1,035百万ユーロでした(2020年12月31日:マイナス888百万ユーロ)。

2021年上半期の事業部門別業績

接着技術事業部門では、2021年上半期の名目売上高は14.4%増で、前年同期の4,153百万ユーロから4,752 百万ユーロに増加しました(第2 四半期:2,394百万ユーロ、23.1%増)。既存事業売上高は20.2%増加しました(第2 四半期:28.5%増)。本年の上半期の進展は、全地域と事業分野で世界経済の継続的な回復に大きく影響されました。2021 年上半期の調整後の営業利益は50.9%増の 820百万ユーロでした。調整後の売上高営業利益率は17.3%と、2020 年上半期のレベルを4.2%上回りました。

2021年上半期のビューティーケア事業部門の既存事業売上高は5.2%増でした(第2四半期:8.2%増)。名目売上高は、1.1%増の1,839百万ユーロでした(第2 四半期:914百万ユーロ、3.5%増)。売上高の増加は主に、前年第2四半期にパンデミックに伴うヘアサロン閉鎖により多大な影響を受けたプロフェッショナル向け事業が大幅に回復していることによるものです。2021年上半期の調整後の営業利益は、前年比6.8%増と、183百万ユーロに達しました。調整後の売上高営業利益率も10.0%増と、前年比の水準を上回っています。

ランドリー&ホームケア事業部門の2021年上半期の既存事業売上高成長率は3.9%増でした(第2 四半期:3.6%増)。名目売上高は5.3%減の 3,275百万ユーロでした(第 2 四半期:1,619 百万ユーロ、5.1%減)。調整後の営業利益は490百万ユーロと、主に為替変動のマイナスの影響により、前年同期比で7.7%減でした。調整後の売上高営業利益率は15.0%と、特に原材料コストの上昇と為替差損の影響により、2020年上半期の水準をわずかに下回りました。

「意義ある成長アジェンダ」 順調に進捗

「2021年上半期中、私たちは成長アジェンダに一貫して取り組んできました」と、カーステン・クノーベルは述べています。ヘンケルは本年度、積極的なポートフォリオ管理のほか、成長アジェンダの2つの側面に注力しています。まず、イノベーション、サステナビリティ、デジタル化をさらに強力に推進して、競争力の向上を目指しています。次に、当社の企業文化をさらに強化することを目指しています。2021年上半期には、全分野で順調な進捗を達成しました。

積極的なポートフォリオ管理の一環として、総売上高10億ユーロを超えるブランドとカテゴリーを特定して、そのうちの約50%を2021 年末までに売却または廃止する予定です。残りのブランドと事業は、サステナブルな業績改善を達成するものと期待されています。現在までに、これらのブランドと事業の収益ベースの60%で売上増の機運が高まっています。市場の不確実性が残っているものの、ヘンケルはすでに、売上高の総計で約350百万ユーロの事業を廃止、または売却しました。そのほとんどは、一般消費者向け事業でした。また、Swania SAS の買収が2021 年7月に完了したのに伴い、ランドリーケアおよびホームケアのサステナブルな製品の市場でヘンケルの地位が強化され、補完的なブランドを追加して、ポートフォリオが拡張されました。

競争力をさらに強化するため、ヘンケルはインパクトのあるイノベーションを加速し、サステナビリティを強化し、会社のデジタル化を推進しています。

ヘンケルの戦略の重要な柱は、成功によるイノベーションを通じて、市場で明確な差別化を図ることです。これにより、本年上半期の成長が大きく支えられました。接着技術事業部門では、主な顧客と共同開発した5Gアプリケーション向けの革新的なサーマルインターフェース材料により、2桁台半ばの成長を達成しました。ビューティーケア事業部門では、Natural & Easy(ナチュラル&イージー)およびPalette(パレット)ブランドの強力なイノベーションにより、ヘアカラー市場で極めて高い成長を達成し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)前と比較して、市場シェアを拡大しました。ヘアサロン向け事業では、IGORA Royal(イゴラロイヤル)ブランドのリニューアルが成長に貢献しました。Somatの「Excellence 4in1 Caps」やPril(プリル)の抗菌タイプなどのイノベーションの成功に支えられて、ランドリー&ホームケア事業部門はグローバルな食器洗浄市場でシェアを拡大しました。

長年にわたり、サステナビリティはヘンケルの最大の強みの1つでした。評価と格付けで定期的に確認されているように、当社はリーダーシップの役割を果たしており、サステナビリティを競争上の強みとすることを目指しています。

その一例として、ヘンケルはPlastic Bank(プラスチックバンク)とのパートナーシップをさらに前進させました。このパートナーシップでは、貧困層の人々の生活を改善しながら、環境へのプラスチック廃棄を阻止することを共通の目標としています。ヘンケルとプラスチックバンクは、初のプラスチック廃棄物収集センターをエジプトのカイロ近郊に3 施設開設しました。このプロジェクトは、ヘンケルとプラスチックバンクの良好な長期的なパートナーシップの一環です。

サステナビリティ分野での進捗は、消費者および工業向け製品にも反映されています。ランドリー&ホーム事業部門では、新しいLove Nature(ラブネイチャー)ブランドがドイツのサステナブルなランドリーおよびホームケア製品の急成長セグメントですでに3 位に入っています。ビューティーケア事業部門は、サステナブルなパッケージングソリューションを継続的に拡大しています。Nature Box(ネイチャーボックス)ブランドでは、リサイクル可能な詰め替えパッケージが開発され、従来のパッケージに比べてプラスチック使用量を 70%以上も削減しました。接着技術事業部門は、フットウェア用に水ベースの新しい接着技術を導入し、複数の生産手順を排除し、CO₂ 排出量を最大30%削減しました。

イノベーションとサステナビリティのほか、ヘンケルはデジタル化を競争力強化の重要な手段として定義してきました。本年上半期には、デジタルチャネルを通じた売上高の割合が全事業部門でさらに増加しました。一般消費者向け事業では連結で、30%を超える成長率を達成しました。接着技術事業部門では、デジタルによる売上高がさらに拡大しました。2021年上半期、Eコマースプラットフォームを通じて2桁台半ばの成長を達成しています。その結果、e-shop を通じた接着剤事業の売上高の割合は25%を超えました。グループレベルでは、デジタル売上高の割合が総売上高の約18%と、40%増加しました。

さらに、全事業のデジタル化を通じて競争力をさらに強化することを目的に、ヘンケルはAdobeと戦略的パートナーシップを締結しました。新たに開発された、デジタル事業およびEコマース向けのデータドリブン型プラットフォームは、ヘンケルのデジタルイノベーションを加速し、新たなビジネス機会を創出することを意図しています。

ヘンケルの企業文化をさらに進展させ、カルチャー・トランスフォーメーション(企業文化の変革)を加速することも、「意義ある成長アジェンダ」の重要な要素です。当社は、協力的な文化の醸成を目指しています。ヘンケルはこの目標を達成し、従業員の能力を高めるため、本年上半期にもさまざまな施策を開始しました。

ヘンケルは、未来型の働き方に関して「Smart Work」と呼ばれる新しい包括的なコンセプトを開発し、社員に発表しました。これには、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行後の新たな働き方が反映されており、より柔軟で、ハイブリッドな働き方を促進することができます。常に出勤する必要がない業務の場合、このコンセプトに基づいて、社員は40%までリモートで働くことができます。さらに、企業の目的を再定義しました。当社の目的が信頼でき、社員への関連性が高くなるよう、世界各地の社員が積極的に目標の策定に参加しました。企業の目的の中核は、ヘンケル創設以来、当社と社員を特徴付け、全社員の推進力となってきた先駆的な精神です。また、お客様のために価値を創造し、世の中ののためになる企業となります。

「当社の目的であるPioneers at heart for the good of generationsは、ヘンケル社員のあるべき姿、一体感、世界で果たすべき役割を表しています。これは単なるスローガンやキャッチコピーではありません。私たちは、この目的を実践すべく、日々真摯に取り組んでいます。社員、お客様と消費者、株主、ならびに現在と将来の世代のために、先駆的精神と起業家精神を活かしていきたいと考えています」と、カーステン・クノーベルは、「そのためには、私たちが当社の目的をしっかりと理解し、これに沿って意識的に行動することが重要です。今年上半期には、事業開発が成功し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが続いているにもかかわらず、戦略的アジェンダの実行が順調に進捗したことを誇りに思っています。私たちは今後も、『意義ある成長アジェンダ』を推進し、原材料費の上昇とサプライチェーンの緊迫による困難な状況を考慮して、市場の変化に対応すべく、残る2021年中も、高い柔軟性を維持していきます」と述べています。

 ※2021年8月12日にドイツ・ヘンケル本社が発表したニュースリリースの日本語訳版です。本業績レポートは英語が原本であり、その内容・解釈については英文原本が優先します。

本資料には、今後のヘンケルに関わる将来の事業動向、財務業績、その他の出来事または動向に関する記述が含まれており、これらは将来予測に関する記述に該当する可能性があります。将来予測に関する記述は、英文中expect, intend, plan, anticipate, believe, estimateなどの語や同様の表現の使用を特徴としています。この情報に含まれる将来予測は、弊社経営陣の現在の予測と予想に基づくものです。
こうした要因の多くは、経済状況や競合の活動、その他市場要因など、弊社のコントロールを超えるものや前もって正確に予測することができないものです。ヘンケルは、これら将来予測をアップデートする意向はなく、またそれに関するいかなる義務を負うものでもありませんので、ご了承ください。

本資料は、適用可能ではあるが、明確に定義されていない財務報告枠組みのなかで作成されており、代替的業績指標である、またはそのような可能性のある補足的な財務指標が含まれています。これらの補足的な財務指標は、単独で解釈すべきではなく、また連結決算報告書に適用される財務報告枠組みに従って表示されたヘンケルの純資産、財務状況または経営成績の代替的な指標と見なすべきではありません。類似の名称の代替的業績指標を報告または記載している他の企業は、かかる指標を、ヘンケルとは異なる方法で計算している可能性があります。

本資料には、適用される財務報告枠組みのなかで明確に定義されておらず、代替的業績指標であるかまたはその可能性のある補足的な財務指標が含まれています。本資料は情報提供のみを目的としており、投資助言を提供するものではなく、有価証券の売却の申し出または購入の勧誘を構成するものではありません。

カーステン・クノーベル、最高経営責任者

マルコ・スウォボダ、財務(最高財務責任者)/購買部門担当