2021/11/16  デュッセルドルフ、ドイツ

原材料コストと輸送コストの上昇が引き続き市場環境を左右

ヘンケル、第 3 四半期も大幅な売上増を達成し成長軌道を継続

  • グループの既存事業売上高は 3.5%増の約 51 億ユーロ、名目売上高は 1.9%増:
    • アドヒーシブ テクノロジーズ(接着技術)事業部門の既存事業は、非常に好調な売上高成長率 を達成し7.0%増、名目売上高は 7.1%増
    • ビューティーケア事業部門の既存事業売上高成長率は -3.0%、名目売上高は -6.5%と減少
    • ランドリー&ホームケア事業部門の既存事業売上高は 2.0%増と好調、名目売上高は -0.8%と減少
  • 既存事業売上高の伸びは主に新興成長市場が牽引
  • ヘンケルは 2019 年第 3 四半期比で既存事業売上高成長率 7.5%増と、危機前の水準を大きく上回り、平均年間成長率 3.7%増を達成
  • 2021 年度見通しを更新:売上高見通しが確定、収益予想は前回の見通しを下方修正

ヘンケルは、2021 年度第 3 四半期も成長を続け、グループ売上高は約 51 億ユーロと、成長軌道を継続しています。これは既存事業売上高成長率が 3.5%増と好調だったことをうけ、特に全事業部門で価格が上昇したことにより牽引されました。一般消費者向け事業の需要の正常化と工業用事業の継続的な回復により販売量が安定しました。名目売上高は、1.9%増でした。

ヘンケル CEO のカーステン・クノーベルは、「第 3 四半期にも世界的なコロナ危機の影響、原材料市場の極めて緊迫した状況、世界的なサプライチェーンの混乱により、当社の市場環境は引き続き大きな影響を受けたにもかかわらず、ヘンケルは好調な業績を達成しました。2019年第3四半期の危機前の水準と比較して、年平均既存事業成長率3.7%増を達成し、全事業部門で危機前のレベルを超えることができました」と述べています。

「特にサステナビリティ分野でのイノベーションの成功、ならびにデジタルビジネスの拡大は、重要な成長推進力になりました。また、第3四半期に既存事業売上高の好調な増加は、有力なブランドと革新的なテクノロジーからなる、強固でバランスのとれた当社のポートフォリオを証明するものです。この結果は、特に当社のグローバルチームの優れたパフォーマンスによるもので、困難な状況のなか、ヘンケルの長期的な成功に大きく貢献しています」

第3四半期の好調な売上の成長は、主に接着技術事業部門により牽引されました。4つの事業分野のうちの3つの分野で、非常に好調な既存事業売上高の成長を達成しており、その一部は2桁成長を遂げました。オートモティブ&メタル事業本部は前年同期をやや下回りました。

一方、ビューティーケア事業部門およびランドリー&ホームケア事業部門の一般消費者向け事業では、明暗を分ける業績となりました。

ビューティーケア事業部門の既存事業売上高は、極めて低調な市場状況によるボディケアカテゴリーの売上高減少が続いているため、前年同期を下回りました。これとは対照的に、プロフェッショナル向け分野は、前年同期比で力強い既存事業売上高成長率を記録しました。

ランドリー&ホームケア事業部門は、主にランドリーケアにより牽引され、好調な既存事業売上高成長率を記録しました。

地域別では、第3 四半期に北米を除く全地域で既存事業売上高の成長を達成しました。ヘンケルグループの好調な売上高は、主に新興成長市場により牽引されました。新興成長市場では、全地域で 1 桁台後半の既存事業売上高成長率を記録しました。

クノーベルはさらに、「コロナウイルスのパンデミックが続く中、当社は市場の変化に常に柔軟かつ迅速に対応する必要があります。逼迫したサプライチェーンと原材料コストおよび輸送コストの上昇は、特に困難な状況を示しています。こうした困難な状況に対して万全の注意を払い、意義ある成長アジェンダ達成に向けて、戦略的優先事項に集中して取り組みを続けています」と述べています。

2021 年度の見通しを更新

クノーベルは、2021 年度の残りの期間を展望して次のように述べています。「今後のパンデミックの動向、ならびに消費と工業製品生産への影響については、未だ極めて不透明です。特に、原材料価格と物流コストのさらなる大幅な上昇は、これまでの想定よりも大きな影響を経済に与えています。当社は、事業や収益性への影響を抑えるため、懸命に取り組み、広範に対策を講じています」

「本年 1~9 月期の好調な売上実績に基づき、既存事業成長見通しを確定しました。しかしながら、原材料コストと輸送コストの継続的な上昇による悪影響を考慮して、調整後の売上高営業利益率(EBIT マージン)と調整後の一株あたり利益の見通しを更新しています。これらの指標は、これまでの見通しの下限値となると見込まれます」

グループ全体では、既存事業売上高成長率を引き続き 6.0~8.0%増と見込んでいますが、調整後の売上高営業利益率(EBIT マージン)は 13.5%程度に修正されました。調整後の優先株(一株)あたり利益(EPS)は、為替変動の影響を除外し1 桁台後半の範囲の増加を予想しています。

「私たちは非常に厳しい市場環境で事業を続けています。しかしながら、意義ある成長に向けた戦略的枠組みと当社の強力なグローバルチームにより、この危機を力強く克服し、未来を形作るための体制を整えています」

グループ売上実績

2021 年第 3 四半期は、グループの名目売上高は 1.9%増の 5,092 百万ユーロでした。既存事業売上高成長率(為替変動と買収・売却による影響の調整後)は 3.5%増でした。グループ全体では、価格により成長が牽引されました。販売量の伸びは事業部門によりばらつきがみられました。買収と売却により、売上高は -0.3%減少しました。為替変動により、売上高に -1.3%のマイナス影響がありました。

2021 年1月~9月の9 カ月間おける名目売上高は 3.7%増の 15,019 百万ユーロでした。既存事業売上高成長率は、8.6%増と大幅な増加を達成しました。これは主に販売量に牽引されたもので、プラスの価格動向も成長に貢献しました。

新興成長市場の 2021 年第 3 四半期の既存事業売上高成長率は、8.3%増でした。成熟市場の既存事業売上高成長率は、前年同期比で 0.2%減でした。東欧地域の売上高は 8.9%増加しました。2021 年第 3 四半期に、アフリカ・中東地域で 8.1%増、中南米地域で 9.0%増の既存事業売上高成長率を達成しました。アジア太平洋地域の既存事業売上高成長率は 7.5%増でした。西欧地域の既存事業売上高成長率は 1.1%増でしたが、北米地域の売上高は -2.6%と減少しました。

2021 19月の9 カ月間における、新興成長市場の既存事業売上高成長率は 16.9%増だった一方、成熟市場では 2.9%増でした。

接着技術事業部門の売上実績

2021 年第 3 四半期の接着技術事業部門の名目売上高は、7.1%増の 2,442 百万ユーロでした。既存事業売上高成長率(為替変動と買収・売却による影響の調整後)は 7.0%増でした。販売量と価格の両方が成長した結果、増収につながりました。為替変動により、売上高に -0.4%のマイナス影響があった一方、買収・売却により 0.5%増加しました。

2021 年1月~9月の9 カ月間における、接着技術事業部門の名目売上高は 11.8%増の 7,194 百万ユーロでした。既存事業売上高成長率は、後半に進むにつれて販売量が増加し、価格動向が好転したことにより、15.5%増を達成しました。今年の9 カ月間は、すべての地域と事業で当社ソリューションに対して非常に好調な需要を記録しました。

第 3 四半期には、接着技術事業部門の成長は事業分野によりばらつきがありました。オートモティブ&メタル事業本部の既存事業売上高成長率は、前年同期比でやや減少しました。主に世界的な半導体不足による自動車生産台数の減少が、当社の事業に悪影響を及ぼしました。エレクトロニクス&インダストリアル事業本部では、いずれの事業でも 2 桁の既存事業売上高成長率を達成しました。パッケージング&コンシューマーグッズ事業本部は、引き続き高い顧客需要の恩恵を受け、同様に 2 桁の売上高成長を達成しました。この成長は特に、パッケージング事業とライフスタイル事業により牽引されました。クラフトマン、コンストラクション&プロフェッショナル事業本部の既存事業売上高成長率は、前年の第 3 四半期比で非常に好調でした。一般消費者向け事業とクラフトマン事業の業績は、前年同期の 2 桁成長に対してマイナスとなりましたが、コンストラクション事業部およびジェネラルマニュファクチャリング&メンテナンス事業部の成長により相殺されました。

地域別では、接着技術事業部門の新興成長市場売上高は、前年の第 3 四半期から大幅に増加しました。東欧と中南米地域では、特にパッケージング&コンシューマーグッズ事業本部に牽引され、2 桁成長を記録しました。アフリカ・中東およびアジア地域(日本を除く)では、非常に好調な売上高増を達成しました。

成熟市場全地域で既存事業売上高は非常に好調でした。北米および西欧地域では、自動車生産台数の減少がオートモティブ&メタル事業本部に悪影響を与えました。しかし、全事業分野における需要の増加により、この 2つの地域におけるマイナス成長を相殺する以上の成果となりました。アジア太平洋地域の成熟市場でも、全事業分野の貢献により、非常に好調な成長を記録しました。

ビューティーケア事業部門の売上実績

2021 年第 3 四半期の、ビューティーケア事業部門の名目売上高は -6.5%の 934 百万ユーロでした。既存事業売上高成長率(為替変動と買収・売却による影響の調整後)は、前年同期比で -3.0%でした。販売量は減少しましたが、価格は上昇しました。為替変動により、売上高に -1.1%、買収・売却により -2.4%のマイナス影響がありました。

2021 年1月~9月の9 カ月間における、ビューティーケア事業部門の名目売上高は前年同期比で -1.6%の 2,773 百万ユーロでした。既存事業売上高成長率は、販売量と価格の両方に牽引されて 2.3%増でした。

2021 年第 3 四半期の一般消費者向け事業の既存事業売上高は、主にボディケアカテゴリーの売上が大幅に減少したことにより、前年同期を下回りました。これは、前年同期にパンデミックに伴う大幅な売上増があったため、石鹸製品の需要の正常化が継続しているためです。ヘアコスメティックスカテゴリーの売上高は前年同期比で減少しましたが、事業分野により展開は異なりました。ヘアスタイリングでは、第 3 四半期に既存事業売上高成長率の大幅増を記録し、今年の前半の 6 カ月間に継続的に回復しています。これとは対照的に、ヘアカラー事業の売上高は減少しました。これは、前年同期にパンデミックに伴い大幅に需要が増加したためです。また、ヘアケア事業も前年の水準を下回りました。

第 3 四半期に、プロフェッショナル事業では、今年の前半の 6 カ月間に非常に好調な売上を継続的に記録しており、成熟市場と新興成長市場のいずれも好調な既存事業成長率を達成しています。この成長は特に、非常に好調な北米の成長と、アフリカ・中東および東欧地域の売上高 2 桁成長に牽引されています。

第 3 四半期に、新興成長市場の一般消費者向け事業とプロフェッショナル事業の両方で非常に好調な既存事業売上高成長率を記録しました。中南米を除く全地域がこの業績に貢献しました。アジア(日本を除く)、アフリカ・中東地域では 2 桁成長を記録し、東欧地域での売上高成長率も好調でした。

成熟市場では全体的に、既存事業売上高が前年同期比で減少しました。アジア太平洋地域の成熟市場では、非常に好調な既存事業売上成長を記録した一方、西欧と北米地域では前年同期を下回りました。

ランドリー&ホームケア事業部門の売上実績

ランドリー&ホームケア事業部門の 2021 年第 3 四半期の売上高は 1,680 百万ユーロで、名目売上高が、前年同期比 -0.8%でした。既存事業売上高成長率(為替変動と買収・売却による影響の調整後)は 2.0%増と好調でした。販売量は減少したものの、この業績は主に価格の大幅な上昇により牽引されました。全体的に、買収・売却による影響は売上高に大きな影響を与えませんでした。対照的に、為替変動により、売上高に -2.8%のマイナス影響がありました。

2021 年1月~9月の9 カ月間における、ランドリー&ホームケア事業部門の名目売上高は -3.8%の 4,956 百万ユーロでした。既存事業売上高成長率は、価格に牽引されて 3.3%増と好調でした。

ランドリーケア事業分野では、主に強力洗濯洗剤の好調な業績により牽引され、第 3 四半期に好調な既存事業売上高成長率を達成しました。中核ブランドのパーシル(Persil)は、継続的なイノベーションへの取り組みが功を奏したことにより、非常に好調な成長を達成しました。特殊洗剤は、特にパーウル(Perwoll)ブランドに牽引されて、2 桁の売上高成長を達成しました。Caps 製品は非常に好調に成長し、今年前半の 6 カ月から引き続き好調な業績を継続しました。

第 3 四半期に、主に硬質表面クリーナーカテゴリーの売上減により、ホームケア事業部門の既存事業売上高はやや減少しました。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックに伴い、前年同期に衛生製品需要が大幅に増加したことによるものです。この減少は、「プリル」(Pril)および「ソーマット」(Somat)のブランドファミリーである食器用洗剤の継続的な高業績およびトイレクリーナー「ブレフ」(Bref)の大幅な成長により相殺されました。

新興成長市場では、特にアジア(日本を除く)と中南米地域に支えられ、第 3 四半期に既存事業売上高が大幅に増加しました。いずれの地域でも 2 桁成長を記録しています。既存事業売上高は、東欧地域で大幅に増加し、アフリカ・中東地域では非常に好調でした。

全体的に、成熟市場の既存事業売上高は、北米地域のマイナス成長を受けて、前年を下回りました。これとは対照的に、西欧地域では売上高が増加しました。アジア太平洋地域の成熟市場の成長率は 2 桁台でした。

ヘンケルグループの純資産および財務状況

ヘンケルグループの純資産および財務状況に 2021 年 6 月 30 日からの大きな変動はありませんでした。

今後の見通し

2021 年1月から9月の9 カ月間の事業展開、および今年度末までの進展に関する仮定に基づき、ヘンケルの経営委員会は、2021 年度業績見通しの更新を決定しました。

2020 年に COVID-19 によるパンデミックの影響により、世界的に経済が急激に後退した後、2021 年には工業製品需要が大幅に回復するとの現在の予想に基づき、多くの一般消費者向けカテゴリーでは、今年度末に向けて需要が通常の状態に戻ると考えられています。同時に、ヘンケルと物流サービスに不可欠な原材料は、主に世界経済の大幅な回復と世界的に逼迫したサプライチェーンが原因で、全般的に大幅な価格上昇を記録しています。

以上の要因を考慮して、2021 年度のヘンケルグループの既存事業売上高成長率は 6.0~8.0%増となると予想しています(修正前と同じ)。

接着技術事業部門では、既存事業売上高成長率が 10.0~12.0%の範囲で伸びると予測しています。ビューティーケアとランドリー&ホームケアの両事業部門では、既存事業売上高成長率が 2.0~4.0%の範囲と予想しています(修正前と同じ)。

2020 年および 2021 年初来の買収・売却による影響により、ヘンケルグループの名目売上高成長率への重大な影響は予想されません。為替変動の影響により、売上高はマイナスの影響を受け、1 桁台半ばとなる見込みです。

特に工業用事業とプロフェッショナル事業の需要回復により、2021 年のヘンケルの業績にプラスの影響が見込まれます。ただし、直接材料価格は通年で 10%台前半から半ばの範囲で高騰が見込まれており(修正前の見通し:10%台前半の範囲)、今年度にはその一部しか相殺できないと予測されるため、業績に対して、これまでの予想以上に影響すると思われます。また、為替変動が収益に悪影響を及ぼすことが見込まれます。

これらの要因を考慮して、ヘンケルグループは調整後の売上高営業利益率(調整後の EBIT マージン)を 13.5%と予測しています(修正前の見通し:13.5~14.5%増)。接着技術事業部門の調整後売上高営業利益率は 16.0%と見込まれます(修正前の見通し:16.0~17.0%)。一方、ビューティーケア事業部門では 9.5%(修正前の見通し:9.5~10.5%)、ランドリー&ホームケア事業部門は 14.0%と予想しています(修正前の見通し:14.0~15.0%増)。

調整後の優先株(一株)あたり利益(EPS)は、為替変動の影響を除外して、1 桁台後半の範囲の増加が予想されます(修正前の見通し:1 桁台後半から 10%台半ばの範囲の増加)。

 

※2021年11月8日にドイツ・ヘンケル本社が発表したニュースリリースの日本語訳版です。本業績レポートは英語が原本であり、その内容・解釈については英文原本が優先します。

本資料には、今後ヘンケルに影響を及ぼしうる将来の事業動向、財務成績、その他の出来事または動向に関する記述が含まれており、これらは将来予測に関する記述に該当する可能性があります。将来予測は、英文中 ”expect“ “intend ” “ plan ” “ predict” “assume” “believe” “estimate” “anticipate” “forecast”等の語や同様の表現を用いて特徴づけられています。本プレスリリースにおける将来予測は、弊社経営陣の知見と現在の予測に基づくものです。こうしたステートメントは、将来予測の実現を確約するものではありません。将来のヘンケル社および関連企業の業績は、多くのリスクならびに不確実な要因によって、本稿の将来予測とは異なる場合があります。こうした要因の多くは、経済状況や競合の活動、その他市場要因など、弊社のコントロールを超えるものや前もって正確に予測することができないものです。ヘンケルは、これら将来予測をアップデートする意向はなく、またそれに関するいかなる義務を負うものでもありませんので、ご了承ください。

本資料には、適用可能な財務報告枠組みの中で明確に定義されていない代替的業績指標、またはそのような可能性のある補足的な財務指標が含まれています。ヘンケルの純資産、財務状況または経営成績を評価する際は、これらの補足的な財務指標を単独で解釈すべきではなく、また連結決算報告書に適用される財務報告枠組みに従って表示されたヘンケルの純資産、財務状況または経営成績の代替的な指標と見なすべきではありません。類似の名称の代替的業績指標を報告または記載している他の企業は、かかる指標を、ヘンケルとは異なる方法で計算している可能性があります。

本資料は情報提供のみを目的としており、投資助言を提供するものではなく、有価証券の売却の申し出または購入の勧誘を構成するものではありません。

カーステン・クノーベル、最高経営責任者

マルコ・スウォボダ、財務(最高財務責任者)/購買部門担当