2024/08/20  デュッセルドルフ ドイツ

2024年上半期業績は好調、成長戦略の順調な進展を裏付け

ヘンケル、2024年上半期は既存事業の堅調な売上成長と非常に大幅な収益改善を達成

  • 2024年上半期のグループ既存事業売上高は2.9%増の約108億ユーロ(名目1.0%減)、両事業部門で売上高増
  • 営業利益(EBIT)*は大幅増で1,610百万ユーロ(28.4%増)
  • EBITマージン*も大幅改善で14.9%(340ベーシスポイント増)
  • 優先株(一株)あたり利益(EPS)*は約3分の1増の2.78ユーロで、為替変動の影響調整後32.9%増
  • フリーキャッシュフローは約800百万ユーロときわめて堅調
  • 戦略的成長アジェンダのさらなる推進
  • 2024年度業績見通しは7月中旬に上方修正済み
    • 既存事業売上成長率:2.5~4.5%(変更なし)
    • 調整後の売上高営業利益率:13.5~14.5%(修正前: 13.0~14.0%)
    • 調整後の優先株(一株)あたり利益(EPS):為替変動の影響調整後20.0~30.0%増(修正前:15.0~25.0%増)
  • 中長期的財務目標は中期に達成する見込み

*一時所得、一時費用およびリストラ費用を除く

ヘンケルは2024年上半期、厳しい経済環境が続く中、既存事業の堅調な売上成長と非常に大幅な収益改善を達成しました。当社は、収益性の高い成長に向け引き続き順調に前進を遂げています。ヘンケル最高経営責任者のカーステン・クノーベルは「グループ全体として、2024年上半期はきわめて好調な業績を達成しました。これは、当社の戦略が順調に前進し、意義ある成長に重点を置いた取り組みが具体的な成果を上げていることを示しています。上半期の既存事業売上高成長と収益改善は両事業部門が牽引しました。コンシューマー向け事業の統合を成功させ、戦略的措置やイニシアチブを実施していることが売上高、粗利益、収益に大きなプラスの影響を及ぼしています。また、アドヒーシブ テクノロジーズ(接着技術)事業部門ではお客様に寄り添った組織体制を整えましたが、その体制変更も好調な業績に大きく寄与しています。フリーキャッシュフローも堅調で、すでに高水準にあった2023年上半期をさらに上回っています。これらのことから、当社は事業と未来を見据え、的を絞ったブランド、テクノロジー、イノベーションへの投資をさらに推し進めていきます。また、私たちは、競争優位なポジションを一層強固なものにするため、サステナビリティとデジタル化に関する重要な取り組みも推進しています」と説明しました。

さらにクノーベルは、「上半期の堅調な業績を受け、下半期の業績についても自信を持っていることから、7月中旬に通年の業績見通しを上方修正しました。私たちはお約束したことを果たしながら、さらに収益性の高い成長に向け順調に前進しています。このことは当社の中長期的財務目標の修正にも反映されており、中長期的財務目標は中期に達成するものと私たちは確信しています」と述べています。

2024年度業績見通し

2024年度業績見通しを2024年5月3日に更新後、7月17日に利益見通しを上方修正しました。コンシューマーブランド事業部門の利益見通しの上方修正とイノベーションの加速に向けたマーケティングへの投資拡大が上方修正の主な要因です。通期見通しでは下半期も直接材料価格は高止まりするものと見込んでいます。現時点での2024年度の売上高・利益見通しは次の通りです。

ヘンケルは、2024年度グループ既存事業売上高成長率を2.5~4.5%と見込んでいます。接着技術事業部門の既存事業売上高成長率は2.0~4.0%、コンシューマーブランド事業部門の既存事業売上高成長率は3.0~5.0%と予想しています(変更なし)。グループの調整後の売上高営業利益率(EBITマージン)は13.5~14.5%(修正前:13.0~14.0%)と見込んでいます。事業部門別の調整後の売上高営業利益率(EBITマージン)は、接着技術事業部門については、16.0~17.0%(変更なし)、コンシューマーブランド事業部門については、13.0~14.0%(修正前:12.0~13.0%)と予想しています。調整後の優先株(一株)あたり利益は、為替変動の影響を除外すると20.0~30.0%増と見込んでいます(修正前:15.0~25.0%増)。

2024年上半期の業績

厳しい市場環境が続く中、2024年上半期のグループ売上高は10,813百万ユーロとなり、名目売上高は前年同期比で1.0%減でした。これは、主にロシアの事業売却の影響によるものです。2024年第2四半期の名目売上高は再び増加しました(第2四半期:5,496百万ユーロ、3.4%増)。為替変動による売上高への影響はマイナス1.9%でした(第2四半期:プラス0.2%)。買収・売却による売上高への影響はマイナス2.1%でした(第2四半期:プラス0.3%)。2023年4月のロシアでの事業売却はマイナスの影響を与えたものの、最近完了した各事業部門におけるSeal for Life IndustriesとVidal Sassoonの買収はプラスに寄与しました。為替変動と買収・売却の影響を除外した既存事業売上高は2.9%増と堅調な伸びを示しました(第2四半期:プラス2.8%)。

2024年上半期の接着技術事業部門の既存事業売上高成長率は2.0%と、モビリティ&エレクトロニクス事業とクラフトマン、コンストラクション&プロフェッショナル事業に牽引され非常に堅調な伸びとなりました(第2四半期:プラス2.6%)。コンシューマーブランド事業部門の既存事業売上高成長率は、全事業分野が寄与し、4.3%ときわめて堅調な伸びとなりました(第2四半期:プラス3.3%)。両事業部門ともに価格改定が大きく寄与しました。グループ全体の販売量は、コンシューマーブランド事業部門のポートフォリオの最適化措置の実施による影響が続いていることから、小幅な増加基調となりました。2023年上半期および1四半期との比較でも、引き続きさらなる改善傾向にあります。

2024年上半期における欧州地域の既存事業売上高成長率は1.8%となりました(第2四半期:1.2%増)。IMEA(インド・中東・アフリカ)地域の既存事業売上高成長率は21.0%と2桁の大幅な伸びを達成しました(第2四半期:13.7%増)。北米地域の既存事業売上高成長率は1.6%減となりました(第2四半期:0.2%減)。中南米地域の既存事業売上高は横ばいでした(第2四半期:2.7%増)。アジア太平洋地域の既存事業売上高成長率は5.5%となりました(第2四半期:7.5%増)。

調整後の営業利益調整後EBIT)は、前年同期の1,254百万ユーロから28.4%の大幅増で1,610百万ユーロでした。この増益の主な要因は粗利益の大幅増です。

以上より、グループの調整後の売上高営業利益率(調整後EBITマージン)は、前年同期の11.5%から340ベーシスポイント増と大幅に上昇し14.9%となりました。

優先株(一株)あたり利益は大幅増で2.46ユーロとなりました(前年同期:1.35ユーロ)。優先株(一株)あたり調整後利益は、前年同期の2.13ユーロから30.5%増の2.78ユーロとなりました。この大幅増の要因は調整後の営業利益の増加によるものです。為替変動の影響を除外した優先株(一株)あたり調整後利益は32.9%の大幅な2桁増となりました。

売上高に対する正味運転資本比率は前年の6.1%から0.9パーセントポイント減の5.2%となりました。

フリーキャッシュフローは772百万ユーロとなり、2023年上半期(749百万ユーロ)を上回りました。これは、営業活動によるキャッシュフロー増加が主な要因です。

2024年6月30日時点での純財務状況は、マイナス1,440百万ユーロとなりました(2023年12月31日時点 12百万ユーロ)。

2024年上半期の事業部門別業績

接着技術事業部門では、2024年上半期における名目売上高は5,475百万ユーロとなりました(第2四半期:2,798百万ユーロ)。既存事業売上高は2.0%増でした(第2四半期 2.6%)。これには0.2%増の価格改定と1.8%の販売量増が特に寄与しました。第2四半期の販売量も前期比で引き続き改善が見られました。

モビリティ&エレクトロニクス事業本部の既存事業売上高は5.3%の堅調な伸びを示しました(第2四半期:6.8%増)。この増収にはすべての事業部が寄与し、特に、エレクトロニクス事業部の既存事業売上高が軟調だった前年に比べ2桁台の大幅な増加となったことが主な要因となりました。パッケージング&コンシューマーグッズ事業本部の既存事業売上高は0.6%減となりました(第2四半期:1.0%減)。パッケージング事業部では、販売量が増加し価格改定のマイナス影響を相殺しました。コンシューマーグッズ事業部は堅調だった前年に比べ小幅な減となりました。クラフトマン、コンストラクション&プロフェッショナル事業本部の既存事業売上高は、一般用接着剤事業部が寄与し、1.0%増となりました(第2四半期:1.7%増)。一方、ジェネラルマニュファクチャリング&メンテナンス事業部は需要鈍化により小幅な減少となりました。

調整後の営業利益は、前年同期の766百万ユーロから21.8%増の933百万ユーロとなりました。調整後の売上高営業利益率は、310ベーシスポイント増と大幅に上昇し、17.0%となりました。特に、原材料コスト減、プラスのミックス効果、サプライチェーンの効率化が粗利益にプラスの影響を与えました。

コンシューマーブランド事業部門では、2024年上半期の名目売上高は5,266百万ユーロとなりました(第2四半期:2,662百万ユーロ)。名目売上高成長率はマイナス1.8%でした。既存事業売上高は、5.1%増の価格改定により4.3%増となりました(第2四半期:3.3%増)。販売量は、ポートフォリオ最適化措置の実施などにより0.9%減の小幅な減少となりました。ただし、第2四半期の販売量は前期比で引き続き改善が見られました。

ランドリー&ホームケア事業本部の既存事業売上高成長率は3.1%増と堅調な伸びとなりました(第2四半期:1.5%増)。ランドリーケア事業の既存事業売上高は、ファブリック・ケアのカテゴリーの売上高2桁台成長とファブリック・クリーニングカテゴリーの売上成長に牽引され増加しました。ホームケア事業の既存事業売上高は、食器用洗剤カテゴリーとトイレット・ケアのカテゴリーにおける2桁台の売上増に牽引され大幅な伸びを示しました。2024年上半期におけるヘア事業本部の既存事業売上高成長率は7.3%増と大幅な伸びとなりました(第2四半期:7.7%増)。コンシューマー向け事業では、既存事業売上高が前年同期比で2桁台の高い伸びを記録したヘアスタイリングカテゴリーが牽引役となり、同様に2桁成長を達成しました。プロフェッショナル向け事業の既存事業売上高も堅調に増加しました。その他コンシューマー向け事業本部の既存事業売上高は2.3%増と堅調な伸びとなりました(第2四半期:0.7%増)。

調整後の営業利益は753百万ユーロと前年同期比で34.8%の増益となりました。この増益の主な要因は、価格改定、コンシューマーブランド事業部門新設によるコンシューマー向け事業の統合に伴うコスト削減、ポートフォリオ最適化措置および価格改定によるものです。調整後の売上高営業利益率は、390ベーシスポイント増と大幅に上昇し、14.3%となりました。

成長アジェンダの実行を着実に推進

ヘンケルは、2024年上半期も「意義ある成長」アジェンダの戦略的優先事項を着実に推進し、全分野において順調に進展を遂げました。

旧事業部門「ランドリー&ホームケア」と「ビューティーケア」の、コンシューマーブランド事業部門への統合は2段階で行われており、2024年上半期は順調に計画を進め、さらなるコスト削減を達成しました。ヘンケルは、この統合の両段階で525百万ユーロのコスト削減を目指しており、2026年末までに実現する予定です。

同事業部門のサプライチェーンネットワーク最適化に重点を置く統合計画の第2段階目において、いわゆる「1-1-1」の原則がすでに対象国30カ国近くで導入されています。これは、「コンシューマーに対して一つのヘンケル(one face to the customer)」の原則に基づき、最適化されたロジスティクス機能によって商業的統合を推進する取り組みの一環となるものです。「1-1-1」の原則とは「ワンオーダー、ワンデリバリー、ワンインボイス(1つの注文、1回の配送、1通の請求書)」を意味します。また、米国と東欧諸国でのランドリー&ホームケア事業などを中心に、生産物流ネットワークの最適化と統合をさらに推し進めました。これらの取り組みにより、グループ全体で、ネットワークの複雑性をすでに約16%軽減しています。

また、コンシューマーブランド事業部門のポートフォリオ最適化にも注力しており、最近では北米地域のランドリー&ホームケア事業のポートフォリオに重点をおいて実施しました。

ヘンケルは、競争力をさらに強化するため、魅力的な事業分野における強力なイノベーションに注力しています。2024年上半期も引き続き、これらのイノベーションが両事業部門の成長に寄与しました。接着技術事業部門では、革新的な接着ソリューションへの需要拡大をもたらす、自動車部品のさらなる統一化の動きに対応しています。例えば、自動車の電子部品の統一化はパワートレインに関係なく大きな恩恵がありますが、使用する接着剤ソリューションの熱管理に関し極めて特殊な要件があることから、非常に複雑な分野でもあります。ヘンケルは、早い時点で、この動きを認識し、主要OEMメーカーや主要ティアサプライヤーと協力して革新的ソリューションの開発に取り組んできた数少ない主要企業の一つです。このような統一された部品の市場は、今後数年で20%以上の成長が見込まれています。コンシューマーブランド事業部門では、ヘア事業本部の既存事業売上高成長率が7%を上回る高い伸びを記録しました。この高い伸びは、コンシューマー向け事業およびプロフェッショナル向け事業と傘下ブランドのSchwarzkopf(シュワルツコフ)が牽引しました。この事業分野の販売量は、4四半期連続での増加となっています。また、ヘアスタイリング事業とヘアカラー事業の市場シェアがそれぞれ40ベーシスポイント上昇しました。さらに、強い髪へと導く新フォーミュラを採用したGliss(グリス)をリニューアル発売した結果、上半期におけるSchwarzkopfの既存事業売上高は2桁台の増加となりました。

カーステン・クノーベルは「2024年上半期、グループ全体で堅調な業績を達成したことを大変喜ばしく思うとともに、戦略的成長アジェンダの実行を着実に推進できたことを私たちは誇りに思っています。私たちはお約束したことを果たし、発表内容を実現し、事業、売上高、収益において具体的な成果を上げています。私たちは、未来の成功に向け果断な意思決定によりヘンケルの変革を進めながら、明確な戦略の下、さらに収益性の高い成長に向けて順調に前進しているのです」と述べています。

 

※2024年8月13日にドイツ・ヘンケル本社が発表したリリースの日本語訳版です。本リリースは英語が原本であり、その内容・解釈については英文原本が優先します。

将来予測に関する記述

本情報には、Henkel AG & Co. KGaA.の経営陣による現在の予測および仮定に基づく将来の見通しが含まれています。将来予測に関する記述とは、英文中expect, intend, plan, anticipate, believe, estimateなどの語句や同様の表現の使用を指しています。この情報に含まれる将来予測は、弊社経営陣による現時点での予測と予想に基づくものです。これらの記述は、その予測が結果的に正しくなることを保証するものではありません。Henkel AG & Co. KGaA.とその関連会社が実際に達成する将来の業績と結果は、多くのリスクと不確実性に左右されるため、将来予測に関する記述とは大きく異なる可能性があります。こうした要因の多くは、経済状況や競合の活動、その他市場要因など、弊社のコントロールを超えるものや事前に正確に予測することができないものです。ヘンケルは、これら将来予測をアップデートする意向はなく、またそれに関するいかなる義務を負うものでもありませんので、ご了承ください。 

本資料には、適用される財務報告枠組みの中で明確に定義されておらず、代替的業績指標(非GAAP指標)であるかまたはその可能性のある補足的な財務指標が含まれています。これらの補足的な財務指標は、単独で解釈すべきではなく、また連結決算報告書に適用される財務報告枠組みに従って表示されたヘンケルの純資産、財務状況または経営成績の代替的な指標と見なすべきではありません。類似の名称の代替的業績指標を報告または記載している他の企業は、かかる指標を、ヘンケルとは異なる方法で計算している可能性があります。

本資料は情報提供のみを目的としており、投資助言を提供するものではなく、有価証券の売却の申し出または購入の勧誘を構成するものではありません。

カーステン・クノーベル、最高経営責任者

マルコ・スウォボダ、財務(最高財務責任者)/購買部門担当